定義:(単射、全射、全単射) A, B を集合とし、f : A → B とする。 このとき 1) f が単射である ⇔ a, a' ∈ A かつ a ≠ a' ならば f (a) ≠ f (a'), 2) f が全射である ⇔ 任意の b ∈ B に対して,ある a ∈ A が存在してb = f (a) とあらわせる, 3) f が全単射である ⇔ f が全射かつ単射である
f が全射であることを言い表すのに、 f (A) = { f (a) ∈ B | a ∈ A } ( f の像という) という表記法を使うと便利なことが多い。 >>29で | の左側には単に x だけ書いていたのに、今では f (a) ∈ B などと書いている。 これは同時に ・f (A) の元は全てある a ∈ A が存在して f (a) とあらわせる ・B の部分集合である という2つのことが述べられる便利な略記法なのである。
単射、全射、全単射について大まかに言っておこう。 単射とは A の元が f により増減無く丸ごとうつせることを意味している。 さらにこれは行き先が常にバラバラであることも意味している。 全射とは B の情報が f によって捕らえられることを意味している。 全単射は A と B の元は一対一に対応することを意味する。
∵) f : A → B を単射、g : B → A を単射とする。 f (A) ⊂ B に対して、B_1 = B - f (A) とおく。 以下、A_n = g (B_n), B_[n+1] = f (A_n), (n ∈ N) とおく。 その上で、 A_[*] = ∪_[n ∈ N] A_n, A^[*] = A - A_[*], B_[*] = ∪_[n ∈ N] B_n, B^[*] = B - B_[*] と定める。 このとき、 f (A^[*]) = f (A) - ∪_[n ∈ N] f(A_n) = f (A) - ∪_[n ∈ N] B_[n+1] f は単射でかつ B_1 = B - f (A) より f (A) =B - B_1 なので、 f (A^[*]) = B - ∪_[n ∈ N] B_[n] = B - B_[*] =B^[*]. また、 g (B_[*]) = ∪_[n ∈ N] g (B_n) = ∪_[n ∈ N] A_n =B_[*]. よってそれぞれ f は A^[*] から B^[*]への全単射であり、 g は B_[*] から A_[*] への全単射で特にこの B_[*] から A_[*] への全単射は 元が一対一対応していることから、A_[*] から B_[*] への全単射が作れる。 それを g^[-1] とおいて、写像 F : A → B を a ∈ A が a ∈ A^[*] ならば F (a) = f (a) とし、a ∈ A_[*] ならば F (a) = g^(-1) (a) と定めれば F が A から Bへの全単射である。 ■
例: a, b ∈ R, a < b とする. A = { x ∈ R | a ≦ x ≦ b }, B = { x ∈ R | a < x < b }とおく。 このとき, f : A → B を f (x) = (1/2)x + ( a + b )/4 , x ∈ A と定め、 g : B → A を g (x) = x と定めるといずれも単射。 よって、カントール・ベルンシュタインの定理よりA から B への全単射が存在する。
定理:(線分上の不動点定理) f : [a, b] → [a, b] を連続関数とする. そのときにある c ∈ [a, b] で f ( c ) = c となる点 c が存在する.
(証明) g (x) = f (x) - x として[a, b]上の関数 g を定める. 仮定より g は連続関数である. ここで, a ≦ f (a) ≦ b, a ≦ f (b) ≦ b, であることに注意すると, g (b) ≦ 0 ≦ g (a) となる. g (a) = 0 または g (b) = b ならば f (a) = a または f (b) = b ゆえ示される. そこでここでは g (a) ≠ 0 かつ g (b) ≠ b とすると, g (b) < 0 < g (a) となるので連続関数における中間値の定理より, ある c ∈ [a, b] で g ( c ) = 0 となる点 c が存在する. この c について f (c) - c = 0 であるから示される. ■
3の倍数(9の倍数)の判定の証明 4桁の自然数で証明するが、一般の自然数も同様に証明できる。 4桁の自然数は 1000a + 100b + 10c + d と表せる。 ここで a, b, c, d は 0 から 9 の整数で、a は 0 ではない。 1000a + 100b + 10c + d = 999a + 99b + 9c + ( a + b + c + d ) と変形すると前の部分は9の倍数なので3の倍数。 よって a + b + c + d が3の倍数なら元の数も3の倍数であり、9の倍数なら元の数も9の倍数。 この a, b, c, d は表れている数であるから、示される。
S(R^n) ⊂ L^1 (R^n) である. 任意の f ∈ S(R^n) をとる.急減少関数なので、 |x|^2(n+1) |u(x)| ≦ M, for any x ∈ R^n となる M が存在する. さらに,必要なら M を取り直して |u(x)| ≦ M for any x ∈ B(O;1) とできる. ∫_R^n |u(x)| dm(x) = ∫_ B(O;1) |u(x)| dm(x) + ∫_( R^n - B(O;1) ) |u(x)| dm(x) ≦ M m( B(O;1) ) + M ∫_( R^n - B(O;1) ) 1/|x|^2(n+1) dm(x) ここで先の注意を用いた.